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大和主砲塔の計測終える 呉市調査終盤 艦橋部分撮影へ

 広島県呉市が東シナ海で進める戦艦大和の潜水調査は終盤を迎えた。いまだに戦艦としては世界最大級とされる口径46センチの主砲塔の計測は終わった。残りの調査では、設計図が見つかっていない艦橋部分の撮影に力を入れる。

 調査船「新日丸」(697トン)は、大和が沈む海域約350メートル四方を移動。ケーブルでつないだ探査機を水深約350メートルに沈め、海底を調べている。

 海が荒れた日を除き、これまで7日間にわたって作業した。大きな特徴である主砲塔は特に入念に調べた。

 装備されていた全3基は、いずれも船体から離れた地点に、ひっくり返る格好で沈んでいた。本来の上部は土に埋まり、砲身がついているかどうかは分からないという。

 大和は当時、トップレベルの極秘事項「軍機」とされた。全貌を隠すため、設計図は部分ごとに描かれた。

 大和ミュージアムの道岡尚生学芸員は「実物を撮影、計測することで、当時の呉の造船技術を解明できる」と期待する。残りの調査では、大和の中央部にあった艦橋部分を撮影する。

 調査船は20日、悪天候を避け、鹿児島県の枕崎港に戻った。天候の回復を待ち、残り3日分の調査に向かう。(今井裕希)

(2016年5月21日朝刊掲載)

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