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栗原貞子詩集 韓国で出版 千葉の李助教が翻訳 「平和考える手掛かりに」

 原爆詩人栗原貞子(1913~2005年)の詩集「ヒロシマというとき」が韓国で出版された。76年の底本刊行から40年。城西国際大大学院の李英和(イ・ヨンファ)助教(56)=千葉県東金市=が約1年をかけて翻訳した。

 広島文学資料保全の会によると、栗原作品が韓国で出版されるのは初という。四六判、354ページで、今年初めにソウルの出版社から刊行された。72年に詠まれた表題作は、日本の加害責任を明確にうたった代表作だ。

 釜山市出身の李さんは、日本文学の研究のため03年に来日。14年、知人がたまたま持っていた同会発行のブックレット「人類が滅びぬ前に―栗原貞子生誕百年記念」を読み、「戦争の被害者意識の強い日本にこんな詩人がいたのか」と衝撃を受けたという。

 多くの韓国人に知ってほしいと翻訳を決意。同じ東金市に住む同会顧問で広島大名誉教授の水島裕雅さん(73)の助言も受けて完成させた。「栗原さんの詩は、国を超え、平和とは何かを考える手掛かりをくれる」と李さん。水島さんは「韓国の若者が読み、研究される契機になれば」と期待を込める。(石井雄一)

(2016年5月21日朝刊掲載)

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