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原発安全強化で一致 高濃縮ウラン 使用を最小化 核安保サミット閉幕

 【ソウル田中美千子】57カ国・国際機関の代表が参加し、韓国ソウルで開かれた「第2回核安全保障サミット」は27日、福島第1原発事故の教訓を踏まえた原子力施設の安全対策強化で一致、核兵器への転用が可能な高濃縮ウランの使用最小化に向け一層の取り組みを参加国に求めた共同宣言「ソウル・コミュニケ」を採択し、閉幕した。

 議長を務めた韓国の李明博(イミョンバク)大統領は閉幕後に会見。参加国のうちウクライナやメキシコなど8カ国が過去2年間に高濃縮ウラン計480キロを廃棄したり、米国やロシアに移送したりしたとし、核安保に向けた「成果」があったと強調。「各国は核テロへの危機意識を共有し、具体的な国内措置と国際協力を続ける」と明言した。

 コミュニケは核テロが「国際安全保障にとって最大の脅威の一つであり続けている」と指摘。福島第1原発事故を受け、2010年4月のワシントンでの第1回サミットの行動計画では触れられなかった原子力施設の防護策を重視する内容となった。

 施設の安全性向上と同時に情報管理を含めた保安体制やサイバー攻撃への対策強化を求め、核テロと事故の両面から緊急事態に備える必要性を盛り込んだ。

 核物質の管理については、原子炉などでの高濃縮ウランの使用を最小限に抑えるため、各国が13年末までに「自発的で具体的な行動」を発表するよう要請。管理の甘い核物質の「4年以内の安全確立」を掲げた前回サミットの目標達成は困難な情勢だ。

 コミュニケは北朝鮮とイランの核・ミサイル問題には言及しなかった。しかし、李大統領は各国首脳から北朝鮮の核・ミサイル開発に対する批判が出たと指摘し、「北朝鮮が心理的影響を受けるだろう」と述べた。

 次回サミットは14年、オランダで開催される。

≪コミュニケ骨子≫

●核テロは依然、最大の脅威の一つ
●福島の原発事故を踏まえ、原発の安全確保の努力継続が必要
●利用していない核物質は処分を
●高濃縮ウランの使用を最小限に
●核施設のサイバーセキュリティー強化を

(2012年3月28日朝刊掲載)

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