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「あの日」語り合う 千田町で被爆 3人対面 広島

 爆心地から2キロ前後の広島市千田町3丁目(現中区)で被爆した3人が、中国新聞の記事をきっかけに対面した。

 多山壽夫さん(89)=中区=の被爆証言が3月7日の朝刊に掲載されたのを読んだ郷田正巳さん(86)=東京都三鷹市=が「ぜひ会いたい」と希望。多山さんと同じ広島工業専門学校(現広島大工学部)の校舎内で被爆した正岡博さん(90)=東区=も含め、南区のホテルで会った。

 郷田さんは、持参した当時の地図を見せながら、自身が被爆した県立工業学校(現県立広島工高)の北側にあった伯父の家や、御幸橋西詰めを南下して土手に逃げた話をした。多山さんと正岡さんはそれぞれ、校舎内で被爆した様子や避難経路を話した。

 郷田さんは「私はうろうろするばかりだったが、3、4歳上の先輩たちは考えて行動しておられる」と感心。多山さんは「けががひどい同級生を病院に連れて行こうとしていたから」と答えていた。

 オバマ米大統領の広島訪問については「東京でも話題になっていますよ」と郷田さん。正岡さんは「米国の大統領として来てしかるべきだ」、多山さんも「謝罪じゃなくていい。罪のない人がたくさん死んだんだから、人間として手を合わせに来てもいいじゃないか」と話していた。(二井理江)

(2016年5月23日朝刊掲載)

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