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被爆の実態 伊勢で発信 サミットに合わせ原爆展

 主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を前に、三重県伊勢市の市観光文化会館で22日、「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」が始まった。27日のオバマ米大統領の広島訪問で被爆の実態へ関心が高まる中、主催する広島、長崎両市は、サミット関係者らに来場を呼び掛けた。

 両市の原爆資料館の所蔵品計24点を展示。広島からは被爆死した動員学徒の学生服や焼け焦げた三輪車(複製)、長崎からは浦上天主堂で犠牲になった信徒のロザリオなどを並べた。放射線被害などを解説する日英両語のパネル各34枚も掲示。29日まで開き、28日には広島市東区の被爆者山本定男さん(84)が体験を証言する。

 開会式典には広島市の松井一実市長、長崎市の田上富久市長のほか、三重県の鈴木英敬知事らが出席。松井市長は「広島、長崎の実態を心に焼き付けてほしい。世界平和を考える動機付けになるはずだ」とあいさつ。田上市長は「核兵器への関心を高め、なくすべき物だと感じてほしい」と述べた。

 また広島、長崎両市はそれぞれ被爆樹木の2世の苗木を伊勢市に贈った。

 会場を訪れた伊勢市の小学校講師、花谷謙二さん(60)は「核兵器保有国の関係者にこそ見てほしい。真剣な廃絶の議論を期待する」と話していた。(長久豪佑)

(2016年5月23日朝刊掲載)

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