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訪問訴え8年 市民の夢実現 オバマ米大統領 広島へ 核廃絶 機運高まり期待

 「チェンジ」を掲げて黒人初の米大統領となったオバマ氏がヒロシマを訪れる。2009年1月の就任前後から広島市では、核超大国の変化を期待する多くの市民がオバマ氏の広島訪問を呼び掛けた。8年越しの願いが実る今、「核兵器廃絶の機運を盛り上げて」と期待が高まる。(久保友美恵)

 オバマ氏が大統領選に勝利した08年11月、中国新聞ジュニアライターの中高生は、こども新聞「ひろしま国」で読者に「招待状を書こう」と呼び掛けた。20日間で「原爆資料館に来て」などとつづった335通が集まり、ホワイトハウスに届けた。

 ライターの一人で広島なぎさ中3年だった会社員岩田皆子さん(22)=東京都板橋区=は「広島訪問を信じ、学校でも手紙の協力をお願いした」と振り返る。「広島訪問はうれしい。被爆者の声を直接聞いてほしい」と願う。

 オバマ氏は09年4月のプラハ演説で「核兵器なき世界を目指す」と宣言。同年のノーベル平和賞を受賞した。

 「中高生ノーニュークネットワーク広島」の3人は10年3月に米ワシントンを訪問。大統領への手紙を下院議員に手渡した。「(大統領に)必ず渡す。喜ぶだろう」と返答があった。しかし、オバマ氏は核実験を続け、核軍縮に具体的な成果を出せていない。

 広島学院高2年だった会社員金森雄司さん(24)=千葉県君津市=は「核抑止力に頼る世界の体制を変えられない現実の厳しさを見せつけられた」と回顧。「広島訪問が核兵器廃絶の諦めムードを打破し、若い世代が行動する契機になれば」と期待する。

 〽核なき 平和をネ 全力つくして-。県郷土民謡・踊協会は09年夏、核兵器廃絶を支持する世論を高めようと「オバマジョリティー音頭」を作った。

 作詞作曲した宍戸俊三理事長(安芸区)は「踊りを教えてという依頼も数年で途絶え、オバマ氏に期待する市民の高揚感が尻すぼみしてしまった」と言う。「広島でもう一度、核兵器なき世界を実現する熱意を宣言してほしい。再び音頭で応援したい」と意気込む。

(2016年5月24日朝刊掲載)

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