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大統領に「平和の壺」 美作の住職 広島・長崎の土で制作

 美作市の大聖寺住職で陶芸家の福田寺大英さん(69)が、広島市と長崎市の爆心地近くの土を混ぜて焼き上げた「平和の壺(つぼ)」をオバマ米大統領に贈る。24日、同寺で送達式をした。「執務室に置いて犠牲者を思い、核廃絶への気持ちを強くしてほしい」と願う。

 広島の土は2000年に、原爆ドーム近くの西向寺(広島市中区)の境内で採取した約30キロ。長崎の土は1988年、長崎市の許可を得て平和公園の地下30センチから同量を掘り出した。

 大聖寺境内の土と混ぜ、高さ、直径約40センチに成形。備前焼の窯変の手法を応用し、土が融和するよう登り窯で備前焼より高い約1400度で焼き上げた。

 長崎の土だけ入ったものを89年に30点、広島と長崎を混ぜたものを00年に25点制作。89年のフランス・アルシュサミットと、00年の九州・沖縄サミットに出席した首脳に贈るなどし、今回の1点だけは手元に置いていた。オバマ大統領の広島訪問を聞き、米国大使館に申し出た。

 送達式では、祭壇に壺を置き、平和を祈って読経した。福田寺さんは「原爆犠牲者はこの壺よりももっと激しい熱で焼かれた。憎しみでなく、信頼で核廃絶を進めてほしい」と求めていた。(持田謙二)

(2016年5月25日朝刊掲載)

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