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満蒙開拓義勇軍 苦闘の日々描く 福山の森本さん 体験基に出版

 福山市向陽町の歴史作家森本繁さん(90)が、旧満州(中国東北部)へ渡った満蒙開拓青少年義勇軍を題材に「白楊樹の墓標」を出版した。義勇軍での自身の体験や所属していた隊の中隊長の日誌を基に、苦闘の日々を描く。

 1940年の茨城県での訓練に始まり、旧満州で勉学や武道に励んだ日々を描写する。まつげが凍るほどの厳しい寒さの中での訓練、農作業のほか、休日にレコードを聴いた日常も記録する。森本さんは当時を「物資が乏しく、ひもじかった」と振り返る。

 森本さんは戦後、中隊長の遺族から日誌を預かった。未開拓の原野で使命に燃えた中隊長が「大いなる仕事なれども一片の 淋(さび)しさ湧ける 国遥(はる)かなれば」と詠んだ句も載せている。

 満蒙開拓青少年義勇軍は青少年を開拓民として旧満州に送り出す国策で、森本さんは40~44年に所属した。年を重ね、真実を伝えたいとの思いが強くなり3年ほど前に執筆した。森本さんは「義勇軍の本当の姿を知ってほしい」と話している。353ページ、原書房。2700円。(高本友子)

(2016年5月25日朝刊掲載)

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