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艦載機 岩国移転 2機増か 住民、なし崩し懸念

 米海軍厚木基地(神奈川県綾瀬市など)に24日、空母艦載のEA18Gグラウラー電子戦機6機が配備された。老朽化したEA6Bプラウラーの代替で、同基地から米海兵隊岩国基地(岩国市)に移転予定だったプラウラーより2機多い。移転する艦載機も計画より2機増えて61機になる可能性が強まり、住民から反発の声が上がっている。

 政府はこれまで岩国市に対し、2014年までに厚木から岩国に移転する艦載機を59機と説明。11年版防衛白書では、プラウラー4機に加え、FA18ホーネット戦闘攻撃機49機、E2C早期警戒機4機、C2輸送機2機となっている。

 在日米海軍司令部広報・報道部(神奈川県横須賀市)は「グラウラーは、プラウラーの代わりに恒久的に配備された」と発表。電子戦機は政府発表より2機増え、総数で61機となった。

 政府発表の59機にするには削減が必要だが、輸送機と早期警戒機は運用上不可能。ホーネットの削減の可能性について、軍事評論家の前田哲男さんは「それぞれの航空部隊の機数は、一つの単位になっている。ホーネットは空母航空団の主力機で削減は考えにくい」という。

 在日米海軍司令部広報・報道部は中国新聞の質問に「以前から移転する機種と機数は発表していない。ノーコメント」と回答。岩国市基地政策課は「移転する機数は59機と承知している」とし、今後の推移を見守る方針だ。

 同司令部はグラウラーはプラウラーより騒音が大きいことを認めている。岩国爆音訴訟の会の津田利明共同代表は「機数が増えることは当然反対だ。騒音軽減のための沖合移設が、ないがしろにされるのは許されない」と憤る。

 岩国基地の拡張・強化に反対する広島県西部住民の会の坂本千尋事務局長も「移転する艦載機は最初57機だった。輸送機が加わって59機になり今回61機と、なし崩しに増えることに怒りを感じる」と話している。(編集委員・山本浩司、堀晋也)

(2012年3月29日朝刊掲載)

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