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オバマ氏広島訪問 意義探る 海外メディア 被害取材へ続々

 米国のオバマ大統領が広島市を27日に訪問するのを前に、海外メディアが相次ぎ広島入りし、被爆者たちを取材している。原爆を投下して70年を経て、初めて現職大統領が核兵器使用のもたらす実態に触れる―。その意義の報道の先に、被爆者たちは、核兵器廃絶への機運の高まりを願う。(小林可奈)

 坪井直さん(91)が理事長を務める県被団協(中区)には、米国の大手新聞社や通信社のほか、英国、フランス、ロシアなど約20カ国のメディアから取材依頼があった。オバマ氏の訪問や謝罪の必要性について、被爆者の受け止めに関心が集まっているという。

 25日は、ニューヨーク・タイムズが事務所を訪問。坪井さんは自らの被爆体験とともに、その思いを語った。モトコ・リッチ記者は「心を動かされた。オバマ氏も被爆者に会うべきだ」と話した。

 もう一つの県被団協(中区)にもドイツなどのメディアから、取材依頼が寄せられている。佐久間邦彦理事長(71)は「核兵器廃絶のためには、世界の市民の力が重要。うねりを広げるため、被爆者の声を世界に発信してほしい」と、その影響力に期待した。

 原爆資料館(中区)には、米国など約10カ国の約20社の特派員たちが、館内や、市が養成した「被爆体験伝承者」への取材のために訪れている。25日は、英放送局ITVが伝承者で被爆2世の山岡美知子さん(65)=南区=をインタビュー。ジョン・アルバイン特派員は「一発の原爆が人類に与える影響を、知ってほしい。伝え続ける意義を感じた」と強調した。

 原爆資料館啓発課の西田満課長補佐は、取材対応に追われながらも「世界のより多くの人が、ヒロシマに関心を寄せるきっかけになればと丁寧に接している」と話している。

(2016年5月26日朝刊掲載)

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