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オバマ氏きょう広島訪問 全ての犠牲者追悼へ

 オバマ米大統領が27日午後、広島市中区の平和記念公園を訪れる。被爆から71年で、現職の米大統領の広島訪問は初めて。原爆慰霊碑に献花し、「核兵器なき世界」への機運を盛り上げる決意を訴える。公園内での一連の行事には、日本被団協代表委員で広島県被団協の坪井直理事長(91)たち被爆者が立ち会う。26日、公園内に会場が設営され、警戒態勢も一層強まった。

 オバマ氏は長崎にも言及し、第2次世界大戦で犠牲になった全ての「罪のない命」を追悼する考え。原爆資料館で被爆資料を見るほか、原爆ドームを眺めるとみられる。米政府高官は、オバマ氏が今回の訪問で原爆投下の是非に踏み込まないと明言している。

 公園には安倍晋三首相、岸田文雄外相も同行。首相も核廃絶に向けた演説を述べる。

 オバマ氏は主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)参加後の27日午後、大統領専用機で米海兵隊岩国基地(岩国市)へ移動、ヘリで広島に向かう。岩国基地では米兵を激励する予定だ。

 一方、日本被団協は、役員ら3人が平和記念公園での行事に出席することを明らかにした。いずれも広島市から打診があったという。坪井理事長は中区で記者団に、オバマ氏との対面時に謝罪を求めない考えを説明。「『核兵器がゼロになるまで私はあきらめません。共に頑張りましょう』と伝えたい」と語った。

 被団協のあと2人は、広島で被爆した岩佐幹三代表委員(87)と、長崎で被爆した田中熙巳(てるみ)事務局長(84)。別に、原爆で犠牲になった米兵捕虜を調べてきた歴史研究家で被爆者の森重昭さん(79)=西区=たちが行事に招かれたとみられる。

 公園内では26日、碑前の「中央参道」に、業者が折り畳みいす約100脚を並べた。周辺にはスピーカーや照明器を設置。27日は正午以後、訪問行事の終了まで公園内への立ち入りが禁止される。

 広島県警は26日、原爆ドームや原爆慰霊碑そばを巡回し、不審者がいないか確認。公園につながる橋の入り口などで検問を続けた。夜には県外からの応援要員が続々と広島入り。27日午後は総勢4600人で警戒態勢を敷く。

(2016年5月27日朝刊掲載)

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