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北朝鮮核問題 日本の役割は 韓国の趙賢東北核外交企画団長に聞く 

 韓国ソウルで26、27日にあった第2回核安全保障サミット。長距離弾道ミサイルの発射実験とみられる「衛星」打ち上げを予告した北朝鮮に対し、各国首脳から自制を求める発言が相次いだ。韓国外交通商部で北朝鮮担当の趙賢東(チョヒョンドン)北核外交企画団長に、北朝鮮の狙いや韓国政府の対応、朝鮮半島の非核化に向け日本が果たすべき役割などを聞いた。(田中美千子)

 ―北朝鮮の打ち上げ予告の真意は。
 表向きは故金日成(キムイルソン)主席の生誕100年記念。新政権の力を国内に見せつけたいのだろう。

 だが、真の狙いは違うはずだ。核兵器と(核の運搬手段となる)長距離弾道ミサイルの技術を並行して高めることにあるのではないか。北朝鮮は2006年に弾道ミサイルを発射し、3カ月後に核実験を実施。09年もミサイル発射の翌月に核実験をした。今回も核実験はありうる。

 ―北朝鮮の軍事力をどう評価しますか。
 世界有数だ。陸軍は100万人規模だし、複数の核兵器製造に十分な量のプルトニウムを持っているようだ。訪朝した科学者はウラン濃縮を進める秘密施設の存在も明言した。

 ―サミットを通じ、各国首脳が送った自制を求める声は北朝鮮に届きますか。
 韓日米露とともに、中国でさえ打ち上げ反対を表明したが、北朝鮮が聞き入れる気配はない。それでも外交努力しかない。

 打ち上げ強行は北朝鮮に残念な結果をもたらす。国連安全保障理事会は追加制裁に動くだろうし、米国は2月の米朝合意に盛り込んだ食糧供給を撤回する。韓国も挑発的な行為には制裁で応じる。ただ北朝鮮が交渉のテーブルに着けば迎える準備はある。

 ―日本にどんな役割を求めますか。
 韓日米の緊密な関係は、6カ国協議の行く末の鍵を握る。日本政府とはさまざまなレベルで日常的に対話し、連携し続けたい。日本は唯一の被爆国。市民や非政府組織(NGO)による非核化の訴えにも重みがある。メッセージを発し続けてほしい。

(2012年3月30日朝刊掲載)

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