×

ニュース

島根原発廃止求める陳情・請願 大半の議会 慎重姿勢

 中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)1、2号機の廃炉と3号機の新規稼働中止を求める意見書案を、津和野町議会が県内で初めて可決した。同様の意見書案の可決を求める陳情、請願に対し、県内の市町村議会の大半が継続審議とした。原発の安全性が問われる中、原発立地県の市町村議会が意思表示を求められている。(石川昌義)

 意見書案の可決を求める陳情、請願は、原発ゼロをめざす島根の会(代表・舟木健治県教職員組合委員長)が県内全19市町村議会に提出。江津市、海士町、知夫村を除く16市町議会が上程した。

 28日に意見書案を可決した津和野町議会では、共産党町議の趣旨説明を受け、国民新党系のベテラン町議が賛成討論するなど超党派の広がりを見せた。隠岐の島町議会も同様の陳情を趣旨採択した。

 原発の安全確保やエネルギー政策転換を求める意見書は多くの議会が可決した。だが、島根原発廃止に踏み込んだ今回の内容には、慎重姿勢が目立つ。

 原発が立地する松江市のほか、30キロ圏内にある出雲、安来、雲南市を含む11市町議会が継続審議を決めた。松江市議会は本会議の委員長報告で「もう少し勉強が必要」とした。

 また、浜田、益田市議会は陳情、請願を不採択。吉賀町議会は陳情を採択したが意見書案を否決した。県西部のある議員は「原発政策を主導した自民党の系列議員が大半の地方議会で主流を占めている。原発立地による財政メリットもあり、議会の意思表示は難しいだろう」とみる。

<島根原発廃止求める陳情、請願への市町村議会の対応>

請願採択、意見書案可決(1)・・・津和野町
陳情を趣旨採択(1)・・・ 隠岐の島町
陳情、請願を継続審議(11)・・・ 松江市、出雲市、大田市、安来市、雲南市、奥出雲町、飯南町、川本町、美郷町、
                     邑南町、西ノ島町
陳情採択、意見書案否決(1)・・・吉賀町
陳情、請願を不採択(2)・・・浜田市、益田市
上程せず(3)・・・ 江津市、海士町、知夫村

(2012年3月30日朝刊掲載)

年別アーカイブ