×

ニュース

目撃1226件 4年ぶり増 米軍低空飛行 広島県内15年度 広島市で急増

 広島県が県内の市町を通じて把握した、米軍機とみられる低空飛行の2015年度の目撃件数は、前年度比115件増の1226件で、4年ぶりに増加に転じた。調査を始めた1997年度以降で5番目に多い。市町別は北広島町が同14件増の713件で最多。広島市は中、南、西区の市街地でも目撃され、同79件増の88件と約10倍に急増した。県は近く、日米両政府に低空飛行訓練の中止をあらためて要請する。(松本恭治)

 北広島町、広島市以外は、安芸太田町203件(同32件増)▽廿日市市145件(同12件減)▽三次市34件(同9件増)▽庄原市21件(同1件増)▽江田島市12件(同5件減)▽大竹市7件(同5件減)▽呉市1件(同1件増)▽福山市1件(同)▽安芸高田市1件(増減なし)。

 急増した広島市では、これまでで最も多かった07年度(43件)の約2倍に上った。上半期は6、7月に集中し、中区や南区、西区の市街地などで41件、下半期は10、11月と1~3月に安佐北区と佐伯区の山間部を中心に47件に上った。

 県内では、中国山地を横断するとされる「ブラウンルート」や、西中国山地の「エリア567」が訓練空域に設定されているが、広島市の市街地は含まれない。市民団体「岩国基地の拡張・強化に反対する県西部住民の会」の坂本千尋事務局長(63)=廿日市市=は「訓練空域に向かう近道として広島市上空を飛んでいるのではないか。飛行ルートが多様化している」と分析する。

 廿日市市の145件の中には、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの16件が含まれる。いずれも3月の目撃で、米韓合同軍事演習で米海兵隊岩国基地(岩国市)を離着陸していたとみられる。過去のオスプレイの目撃情報は12年度に広島市、13年度に安芸高田市で各1件あるだけだった。

 日米合意で「必要不可欠なものに限る」とされている土日祝日の目撃件数は同12件減の43件。夜間・早朝時間帯(午後7時~翌日午前7時)は同48件減の103件。目撃の実日数は同5日増の200日だった。

(2016年5月28日朝刊掲載)

年別アーカイブ