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米軍機? 3月中旬以降68回 低空飛行 浜田で急増 

 米軍機の低空飛行訓練とみられる騒音の観測が、3月中旬以降、浜田市の中国山地で急増している。市が昨年12月末に騒音測定器を設置して以降に観測した85回のうち、3月中旬以降の4日間で8割を占めた。同14日には、江津市桜江町で住民が低空飛行訓練とみられる機影を撮影。長距離弾道ミサイル発射実験とみられる「衛星」打ち上げを予告した北朝鮮への警戒とみる専門家もいる。(石川昌義、浜岡学)

 浜田市は昨年12月22日、旭町今市の旭支所に騒音測定器を設置。これまでに計9日、米軍機とみられる騒音を観測した。騒音が最も多かったのが3月14日と27日の23回。次いで29日が19回、21日にも3回あり3月中の4日間で計68回あった。騒音は「地下鉄の車内」に相当する80デシベル以上を4日間で35回記録し、市に計26件の苦情が寄せられた。

 3月は夜間の騒音も観測。14日には午後7時ごろから約3時間、断続的に騒音が続いた。市旭支所自治振興課は「異常な観測回数。夜間の騒音に不安を感じている住民も多い」と訴える。

 江津市桜江町長谷のリゾート施設「風の国」の体験工房の従業員佐々木さとみさん(45)は3月14日午後3時ごろ、米軍のFA18戦闘攻撃機とみられる航空機を施設付近で撮影した。木立の上で機体を傾け、旋回する様子を捉えた。佐々木さんは「急上昇する機体が見えた。夜は家の明かりを目がけて訓練しているようで怖い」という。

 米海兵隊岩国基地(岩国市)の訓練の実態に詳しい軍事評論家の前田哲男さん(73)=埼玉県ふじみ野市=は「北朝鮮のミサイル発射に警戒を強めている可能性がある」と指摘。自治体による独自の観測については、「各地で監視体制を強化すれば、米軍に対する抑止圧力になりうる」と評価している。

岩国 3月の苦情451件 移設後最多

 岩国市に寄せられた米海兵隊岩国基地所属とみられる航空機の騒音や低空飛行への苦情が3月は451件となり、約1キロ沖合に移設した2010年5月の滑走路運用後では最多になったことが2日、分かった。市は「北朝鮮などを意識した訓練の増加が原因ではないか」とみており、同日、同基地に口頭で騒音軽減を申し入れた。

 市基地政策課によると、旧滑走路運用時を含めても、1997年1月の592件に次ぐ多さ。移設した滑走路の運用後は、昨年7月の270件がこれまでの最多だった。特に多かったのは30日で、53件の苦情があった。

 同課は「3月は騒音のほか、滑走路の時間外運用もあり、基地への申し入れが計7回と通常より多かった」とし「北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射実験とみられる衛星打ち上げへの対応や、部隊交代で訓練が増えたのではないか」とみている。

 岩国基地報道部は「飛行運用は日本国の防衛のため、運用における即応態勢の維持に不可欠」としている。(堀晋也)

(2012年4月3日朝刊掲載)

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