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上関で朝鮮通信使まつり 「来航図」世界記憶遺産化 機運高めよう 伝統舞踊や物産展

 江戸時代に朝鮮王朝が日本に送った「朝鮮通信使」が寄港した山口県上関町の歴史をPRする「朝鮮通信使上関到来まつり」が6月19日、同町室津の町総合文化センターである。駐広島韓国総領事館などの後援を得て、町観光協会が初めて開く。韓国の伝統舞踊や物産展などの催しなどで往時の交流に思いを寄せる。(井上龍太郎)

 日本と韓国は3月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に朝鮮通信使の関連資料の世界記憶遺産登録を共同で申請。町からは超専寺所蔵の「朝鮮通信使上関来航図」を申請している。まつりで機運を高め、日韓が目指す2017年の登録を後押ししたい考えだ。

 萩藩の直轄地だった上関町は、海上交通の要衝として栄えた。通信使は1607~1764年、往路で11回入港。藩は参勤交代での宿泊などに使った御茶屋で接待した。現存する県有形文化財の「旧上関番所」は、船団が到着する際の海上警護などを担った。

 申請作業に関わった同町の井上美登里さん(63)は「下関を出て瀬戸内海を進んだ通信使が、水や食糧を得るのに適していた。休んだ後、下蒲刈(呉市)に向かった」と説明。登録を機に研究のさらなる深まりを期待する。

 まつりは午前9時開始。韓国舞踊団体「柳会(ポドルフェ)」の公演や、クイズ形式の歴史教室と講座、通信使の足跡をたどるドキュメンタリー映画の上映がある。民族衣装の着付け体験や物産展などを予定。普段は見られない「来航図」の実物を展示する。

 町観光協会の安田和幸事務局長(68)は「通信使とのゆかりを町内外に発信し、日韓の友好関係を育む場にしたい」と意気込んでいる。

(2016年5月31日朝刊掲載)

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