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被爆ピアノ4台 祈り重ね 安佐南区の調律師らCD化 

 被爆ピアノ4台で演奏した曲を収めたCD「ひろしま被爆ピアノ」ができた。ピアノを所有する広島市安佐南区の調律師矢川光則さん(59)と、佐伯区の市民グループ、東京のピアニスト高橋全(あきら)さんが共同制作した。奇跡的に残った音を後世に伝え、平和の尊さを訴える。(永里真弓)

 4台は1932~40年製造。45年8月6日に爆心地から1・8キロの民家や2キロの小学校などで被爆した。爆風で突き刺さったガラス片の跡などが生々しく残る。矢川さんが98年以降、所有者から譲り受けて修復した。

 CDに収めたのは、高橋さん演奏のクラシックや童謡計12曲。「春の小川」は異なるパートを4台で弾いて録音を重ねた。4台の音色を合わせた曲のCD収録は初という。

 市民グループが昨年11月、中区でチャリティー演奏会を開催。矢川さんの被爆ピアノを高橋さんが弾いたのが縁でCD化が実現した。同12月に安佐南区沼田の矢川さんの工房で録音し千枚作成。1枚2500円で工房で販売している。

 被爆2世で、自身も被爆ピアノの公演を開いている矢川さんは「多くの人が平和について考えるきっかけになれば」と期待する。8日午後4時から発売記念コンサートを工房で開く。高校生以上千円、小中学生500円。矢川ピアノ工房Tel082(848)9533。

(2012年4月4日朝刊掲載)

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