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震災避難の少女 絵本に

 福島第1原発事故の後、福島県から広島市に避難してきた少女を描いた絵本「ふくしまからきた子」を、東京都の絵本作家の松本春野さん(28)と父猛さん(60)が出版した。春野さんは「これまで通りに暮らせない子どもがいる事実を伝えたい」と話している。(衣川圭)

 A4判変型、32ページ。少女は、福島にいる友達は屋外で遊べないから、好きなサッカーをしないと決めている。広島のサッカー少年が少女と出会い、放射線について考え始める―との筋書き。

 春野さんは昨夏、計画的避難区域の福島県飯舘村などを取材。緑の風景の中に誰もいない状況に衝撃を受けた。「子どもが子どもらしく振る舞えない社会に不健全さを感じた」という。

 広島を舞台に選んだのは、影響が分からない放射能が偏見を生む構図が、原爆被害と似ていると思ったからだ。「未来を担う世代が、核について考えるきっかけにしてほしい」と願う。

 春野さんは絵本作家いわさきちひろさんの孫。絵本は1日に岩崎書店から出版し、1365円。

(2012年4月7日朝刊掲載)

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