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筆先にヒロシマの願い 記帳開始 原爆死没者30万人に

 広島市は3日、原爆死没者名簿の記帳を始めた。昨年の8月6日以降に亡くなったり、死亡が確認されたりした被爆者の名前を書き加え、今年8月6日に平和記念公園(中区)で営む平和記念式典で原爆慰霊碑に納める。被爆71年で名簿に載る広島原爆の死没者数は30万人を超えた。

 市によると、記帳される死没者は今月2日時点で2840人。広島で被爆し、昨年8月5日までに亡くなった29万7684人の名前は108冊の名簿に記されている。

 記帳を担当するのは、いずれも被爆者で元市職員の池亀和子さん(74)=南区=と中本信子さん(73)=同。2人は3日、市役所で名簿を前に手を合わせて黙とうした後、名前と死亡年月日、年齢を一筆ずつ丁寧に記していった。

 池亀さんが記帳を担当するのは27回目。オバマ米大統領の広島訪問に触れ「原爆資料館で当時の悲惨な状況を目に焼き付けてくれたと信じたい。核兵器廃絶を世界に訴えてほしい」と語った。

 名簿は別に「氏名不詳者多数」とだけ記した1冊と、長崎で被爆した9人分の1冊があり計110冊。市は8月5日まで遺族からの記帳申請を受け付ける。市原爆被害対策部調査課Tel082(504)2191。(益田里穂)

(2016年6月4日朝刊掲載)

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