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ケリー米国務長官が広島へ手紙 資料館見学や図録の感想

 広島市中区の原爆資料館を4月に見学したジョン・ケリー米国務長官が、展示の被爆資料や受け取った図録「ヒロシマを世界に」への感想を5月3日付で記した手紙を、志賀賢治館長宛てに送っていた。オバマ大統領が被爆地を訪れた翌5月28日に届いていた。

 手紙は、広島市であった外相会合に出席して4月11日に資料館を案内されたことに謝辞を述べ、「芳名録で記帳したように、訪問して戦争のありのままの実態を思い起こすと、核兵器の脅威のない世界平和に向けて務めることの重要さを確信する」とつづっている。

 さらに、資料館の日英両語の図録(127ページ、英語名はThe Spirit of Hiroshima)について、「資料館での強烈な体験を思い出させる」と記している。図録は外務省を通じて贈呈したが、本人が実際に手にしたとみられる。

 ケリー国務長官らの資料館訪問は、報道陣をシャットアウトして行われた。関係者らによると、原爆で壊滅直前と直後の広島の空撮写真を投影するコンピューターグラフィックス(今年10月に一般公開予定)や、市民や動員学徒らの遺品でもある弁当箱や衣類などを見学。当初予定の30分を超えて約50分、長官はじっくり見て回ったという。

 手紙が書かれた1週間後の5月10日、日米両政府はオバマ大統領の広島訪問を発表した。長官の手紙は在日米大使館を通じて届いた。

 志賀館長は「図録にまで触れた要人の礼状は初めて。資料館を実際に見た長官の進言が、大統領の訪問実現につながったと思いたい」と話している。(西本雅実)

(2016年6月4日朝刊掲載)

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