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被爆の悲劇 伝える衣服 資料館 コーナー展示替え

 原爆資料館(広島市中区)は6日、東館3階の収蔵資料紹介コーナーの展示を入れ替えた。原爆に親や子を奪われた人たちの悲しみを伝えようと、衣服や手帳といった遺品を中心に並べた。

 遺族から寄贈された遺品5点と、それぞれに遺影や遺族の手記を添えた。雑魚場町(現中区)での建物疎開中に被爆し、行方不明になった女学生のブラウスは下宿先で見つかり、両親が保管していたという。提供した女学生の弟は手記で、バス停に通い、娘の帰りを待ち続けた母の思いをつづった。

 長女と訪れた岡山市北区の主婦相賀美幸さん(44)は「あらがえない力にわが子を奪われ、さぞ苦しかっただろう。同じ親として切ない」と見入っていた。

 原爆資料館は約2万1千点の資料を収蔵。半年ごとに同コーナーの展示を入れ替えている。今回は10月3日まで。(田中美千子)

(2012年4月7日朝刊掲載)

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