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原発災害時 中電から24時間情報 広島・岡山県 連絡体制が始動

 広島、岡山両県は10日、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)で災害やトラブルなどにより緊急事態が発生した場合、中電から24時間、情報提供を受ける連絡体制が11日から始まると発表した。福島第1原発事故を受け、両県が中電に要請していた。

 中電からの情報提供の対象となる事態として①原子炉施設の故障や緊急事態②放射性物質で周辺環境に異常が発生③地震や津波による異常―などの11ケースを想定。両県とも24時間体制で電話とファクスで情報受信し、市町へ情報を提供するとともに、県のホームページなどを通じて発信していく。

 島根原発をめぐっては、立地する島根県が中電との安全協定で立ち入り調査や増設計画の事前了解の権限を持つ。福島の事故の影響が広範囲に及んだのを受け、鳥取県も昨年12月に中電と安全協定を締結。トラブル時に現地確認ができるとされた。広島、岡山両県は異常時の連絡体制を構築するように求めていた。

 広島県の湯崎英彦知事は10日の記者会見で「連絡体制を明確な形で確認しておくことは、万が一の災害時の対応として重要」と強調。一方、現時点では鳥取県並みの権限を求めるつもりはないとの認識を示した。

 中電は「原発の立地県と同じ情報を近隣県にも提供し、住民の安心につなげたい」と話している。(村田拓也、永山啓一)

伊方事故 愛媛県と協議

 広島県の湯崎英彦知事は10日の記者会見で、瀬戸内海を挟んだ四国電力伊方原子力発電所(愛媛県伊方町)で事故が起きた場合の情報収集態勢について愛媛県と協議する考えを明らかにした。

 湯崎知事は、県境から約60キロ離れた伊方原発での事故に備えた対応に関し、「まずは立地県の愛媛県と話をしていきたい」と説明。山口県が3月に愛媛県を通じて伊方原発の異常情報を得る確認書を交わしたことを念頭に、四国電力からの直接の情報提供には否定的な立場を取った。

 また、原発の再稼働で国が同意や理解を得るべき「周辺自治体」の範囲について、「50キロが一つの基準になる」と指摘した。原発から半径50キロ以内は新たな国の原子力防災指針案で、重大事故時が予想される場合に自宅避難の対象となる。

 広島県は、中国電力島根原発の50キロ圏内に庄原市の一部が含まれる。湯崎知事は「国の今後の推移を見守る必要がある」とも強調した。(村田拓也)

(2012年4月11日朝刊掲載)

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