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被爆の惨状 朗読に挑む 東広島の音楽祭で青少年オケ 作家・大庭さんの体験記

 東広島市の小中、高校生たちでつくる東広島青少年オーケストラは12日、市内であるひがしひろしま音楽祭で、被爆の惨状をつづったエッセーの朗読を取り入れた演目に挑戦する。団員は「演奏をきっかけに、若い人に読んでほしい」と願う。(森岡恭子)

 芥川賞作家大庭みな子さん(1930~2007年)の「地獄の配膳」を朗読する。賀茂高等女学校(現賀茂高)に在籍していた大庭さんが、原爆投下後の8月末から9月にかけて、広島の小学校で300人を超える被爆者に食事を配った経験を記している。

 朗読は、指導者の有谿(ありたに)英彰さん(61)が発案した。舞台では、団員約30人が演奏する「G線上のアリア」など3曲に合わせ、松賀中3年の本間芽糸さん(14)が朗読する。

 床にひしめく被爆者、無数のハエとうじ―。むごたらしい描写に、本間さんは当初ためらったが、大役を引き受けた。「同い歳が経験したとは思えないほど悲惨な世界。読むのは難しいが、黙っていたら何も伝わらない」と話す。

 団員たちが出演する12日の音楽祭は午前10時から、芸術文化ホールくらら(西条栄町)である。無料。前日11日も音楽祭はあり、酒蔵アンサンブルカフェ(午後1時、福美人酒造恵比寿蔵)▽山下洋輔スペシャル・カルテット(同3時、くらら)▽酒蔵JAZZナイト(同5時半、同)―などを予定する。

(2016年6月9日朝刊掲載)

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