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社説・コラム

『ひと・とき』 写真家・森山大道さん 東松作品 距離感に敬服

 「しぶといね。分かってたけど、ここまで撮るかって」。広島市現代美術館(南区)で開かれている「東松照明―長崎―」展のトークイベントで、敬愛する写真家東松照明(1930~2012年)への率直な思いを語った。

 東松の没後初めてとなる大規模な回顧展。長崎で半世紀にわたり同じ被爆者を追った代表作や、街角や海の風景を切り取ったスナップなど350点が並ぶ。「被爆者をずっとフォローし、その子どもまで撮り続ける。東松さんにとっては普通のことだったのかもしれないが、すごいこと」

 東松が参加していた前衛的な写真家集団「VIVO」に憧れ、61年に大阪から上京したものの、直前に解散。フリーの写真家として東松と親交し、影響を受けながら自分の道を切り開いた。

 「東松さんは被写体との距離感が絶妙。写真を媒介にしながら関係をつくるのがうまい人だった」。同展は中国新聞社などの主催で7月18日まで。(森田裕美)

(2016年6月15日朝刊掲載)

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