×

ニュース

地域拡大を緊急要請へ 「黒い雨」 国などに広島県連絡協

 広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」の指定地域拡大を求める広島県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会は15日、安芸太田町で代表者会議を開き、本年度の活動計画を話し合った。指定地域見直しをめぐる国の検討会が最終段階に入ったことを踏まえ、緊急の要請行動を実施することを申し合わせた。

 国の第1種健康診断特例区域に入っていない同町や広島市内の計5地域から約30人が集まった。事務局は検討会の協議状況を報告。月内にも検討会座長と厚生労働相に対し、住民の声に耳を傾けるよう申し入れることを提案し、了承された。

 17日と20日、県と広島市など3市5町に国への働き掛け強化を要請することも確認。参加者から「会員が相次ぎ亡くなっている」との報告もあった。高野正明会長(73)=佐伯区=は「国は広い地域に被災住民がいる事実を受け止め、早急に指定地域を拡大してほしい」と話していた。

 福島第1原発事故を受けて内部被曝(ひばく)への関心が高まっているとして、会員の体験談や健康被害などをまとめた新たな冊子を作ることも決めた。8月6日までの発行を目指す。

 この日はまた、福島原発事故後に福島県飯舘村から安佐北区へ移り住んだ青木達也さん(38)を招き、現地住民の苦悩や国の対応の不備などについても聞いた。(田中美千子)

(2012年4月16日朝刊掲載)

年別アーカイブ