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東京発の被爆伝承始動 国立市養成の1期生

 被爆の記憶を次代につなぐ人材として東京都国立市が養成した「原爆体験伝承者」が18日、始動した。研修を終えた1期生19人のうち2人が、同市の「平和の日」(6月21日)制定記念の式典に出席した約140人を前に、被爆者の体験を本人に代わって語った。

 広島市西区出身の沢村智恵子さん(56)=東京都青梅市=は、広島で被爆し母と弟を亡くした平田忠道さん(85)=国立市=の体験を発信。沢村さんの叔父が被爆後に行方不明となった話も織り交ぜ、「戦争も原爆も、過去のこと、他人のことではない。今ある平和について考えてほしい」と訴えた。

 客席で聞いた平田さんは「思いをよく理解し伝えてくれている」と評価。長崎の被爆者から体験を聞き取った伝承者の講話もあり、会場は拍手に包まれた。

 伝承者は20~70歳代。国立市内の被爆者団体の協力で、昨年1月から15カ月の研修を受けた。同市は7月から講話会を月2回開くほか、希望する学校や自治体にも派遣する。(田中美千子)

(2016年6月19日朝刊掲載)

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