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広島県内小中学生 正答率42.3% 広島原爆の投下日時 広島平和教育研調べ 

広島市内と温度差

 広島県内の教職員たちでつくる広島平和教育研究所(広島市東区)は、2011年に県内の小中学生を対象にした平和意識調査の結果をまとめた。広島への原爆投下日時の正答率は42・3%にとどまった。「1945年」を答えられない児童生徒が目立つといい、「歴史の流れを踏まえた上で8月6日を記憶していない」と分析している。

 9市町の公立小13校(うち広島市4校)、公立中11校(同5校)の小学5年~中学3年に記入式アンケートをし、555人から回答を得た。原爆投下日時を正確に答えられたのは235人(42・3%)。1996年の前回より2・9ポイント減、87年の前々回から20・1ポイント下がった。

 学年別では、社会科見学で原爆資料館(中区)を訪れる場合が多い小学5年は58・8%だったが、他は36・6~40・6%と低調だった。

 同研究所は、歴史的背景への理解が不足していると懸念。広島市教委の15年調査の正答率が小学4~6年75・3%、中学生78・3%だったのを踏まえ、「広島市とそれ以外の市町で平和教育の質量に差があり、子どもの知識に影響しているのではないか」とみる。

 一方、「原爆投下時の様子を誰から聞いたか」という問いに対する複数回答では、テレビが255人(55・7%)で最多。被爆証言者217人(47・4%)、学校の教員、家族各144人(31・4%)-と続いた。96年は教員が5割、家族が4割ほどあり、児童、生徒の身近であの日の惨状を語れる人が減っている現状がうかがえた。

 同研究所は、別の団体が68年にした調査を引き継ぎ、71~96年に5回実施。11年分は、同年の東京電力福島第1原発事故を受けた原発や放射線を巡る教材開発を優先し、結果の分析が遅れたという。(久保友美恵)

(2016年6月20日朝刊掲載)

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