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子の健康被害増を懸念 チェルノ研究者が報告 松江

 市民団体「さよなら島根原発ネットワーク」は15日、チェルノブイリ原発事故の地元研究者を招いた報告会「低線量被曝(ひばく)に向き合う チェルノブイリからの教訓」を松江市で開いた。福島第1原発事故に置き換えた場合、子どもを中心に健康被害の増加が懸念されると指摘した。

 ウクライナ国立放射線医学研究所小児放射線部長のエフゲーニヤ・ステパーノブナ氏と、ベラルーシ科学アカデミー主任研究員のミハエル・マリコ氏が講演。90人が聞き入った。両氏とも25年間の研究結果を基に、日本でも主に18歳未満の子どもの甲状腺がんや発達障害が増加する可能性がある、とした。

 ステパーノブナ氏によると、1986年のチェルノブイリ原発事故発生後、原発30キロ圏から避難した18歳未満の住民のうち、「健康」とした人の割合は87年の27・5%から2005年には7・2%になったという。

 同氏は事故発生時の被曝対策が不十分だったとした上で、安定ヨウ素剤の配備など「常に対応が取れる態勢を整えることが重要」と強調した。(樋口浩二)

(2012年4月16日朝刊掲載)

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