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オバマ氏地元で原爆展 広島・長崎市 10月にシカゴ

 広島、長崎両市は10月、米国のオバマ大統領の地元イリノイ州シカゴで「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」を開く。オバマ氏の広島訪問を追い風に、米国内で非人道的な被害についての理解と「核兵器なき世界」への思いを広める。

 会場はシカゴ日本文化会館で、期間は10月1~30日。シカゴ開催は昨年度に決まっていた。被爆10年後の12歳の時に白血病で亡くなった佐々木禎子さんが回復を願って折った鶴や、学徒の遺品の水筒など被爆資料約20点を並べる。渡米した被爆者が証言するほか、英語による被爆手記の朗読会を催したり、鶴を折るコーナーを設けたりする。

 オバマ氏は弁護士として活動したイリノイ州で1997~2004年、州上院議員を務めた後、州の連邦上院議員に選出された。大統領選に立候補表明後の07年10月、シカゴ・デュポール大での講演会で「核兵器のない世界を目指す」と初めて表明。当時、学内は両市による原爆展が始まる直前で、被爆地の写真パネルが並ぶ廊下を歩いてスピーチ会場に向かったという。

 両市は今回、昨年の被爆70年を機に米主要都市で開いている原爆展の会場の一つとして選んだ。

 オバマ氏が広島市を訪れた際、原爆資料館(中区)の滞在はわずか10分で、被爆者の証言を聞かなかった。同館啓発課は「オバマ氏ゆかりの地での展示で、被爆地への関心を一層引きつけたい。オバマ氏も会場で被害に触れ、米国民の来場を促してほしい」としている。(水川恭輔)

(2016年6月21日朝刊掲載)

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