×

ニュース

核軍縮取り組み 「成績表」作成へ

 広島県は本年度、核兵器の保有国や事実上の保有国を対象に、核軍縮や不拡散への取り組みを独自に格付けする成績表(スコアカード)を作る。県の「国際平和拠点ひろしま構想」の一環。2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた来年の第2回準備委員会での公表も視野に、「核兵器のない世界」の実現に向けて核保有国に具体的な行動を迫る。

 外務省は「自治体による核軍縮の成績表は聞いたことがない」としている。

 格付けの対象は、NPTで核兵器保有国と認められている米国、ロシア、フランス、英国、中国と、NPTに加盟せず保有するインド、パキスタン、事実上の保有国のイスラエルを想定。03年にNPT脱退を宣言し核開発を進める北朝鮮や、イラン、シリアなど核開発疑惑が指摘される国も含める方向で調整している。

 採点は県内外の大学の研究者たちでつくる作業グループが担う。「核兵器削減、廃絶に向けた取り組みへの着手」「包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准」など、10年5月のNPT再検討会議が採択した64項目の行動計画を軸に、評価項目を決定する。

 外部の専門家や有識者でつくる認証組織も新設する予定でいる。採点の公平性について点検を受け、13年春の第2回準備委で公表を検討する。

 県は「核兵器廃絶を願う被爆地広島の視点を反映した成績表をアピールし、国際社会の核軍縮の取り組みを迫りたい」としている。(村田拓也)


広島県の国際平和拠点ひろしま構想
 核兵器廃絶に向けた被爆地の役割を提言する。湯崎英彦知事が打ち出した。2011年11月に発表し、国連の潘基文(バン・キムン)事務総長が支援を表明。策定委員には元国連事務次長の明石康氏たち国内外の有識者が名を連ねた。核兵器保有国の政府高官たちが個人の立場で参加する核軍縮に向けた国際会議の開催▽核軍縮などの研究集積▽平和構築分野の人材育成―などを盛り込んだ行動計画を掲げる。

(2012年4月17日朝刊掲載)

年別アーカイブ