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厚木にグラウラーとSホーネット 岩国爆音 高まる懸念

 米海軍厚木基地にEA18Gグラウラー電子戦機6機が配備され、米海兵隊岩国基地のある岩国市にも騒音拡大の可能性が高まっている。厚木ではグラウラーに先立ち、FA18戦闘攻撃機もホーネットからスーパーホーネットに交代。在日米軍再編で厚木から移転する計画だった従来機よりいずれも騒音が大きいとされるからだ。

 岩国市によると、岩国基地には現在、ホーネットなど約53機が所属するとされる。ここにレーダーや通信を妨害する電子戦機で、EA6Bプラウラーの後継機グラウラーが加わる見込み。同機はスーパーホーネットの派生型で、プラウラー以上の騒音を米海軍も認めている。

 グラウラーの厚木基地配備は3月24日。同日午後3時45分ごろ、ごう音を響かせ隊長機を含む3機の編隊が飛来した。基地内で軍人や家族ら約100人が口笛や歓声で出迎え、残る3機は翌25日午後1時ごろ到着した。マイク・ミラー隊長は「アジア太平洋地域の安定と安全へ貢献したい」と胸を張った。

 一方、周囲の住民は反発を強める。滑走路北から約500メートルに、騒音解消や飛行差し止めを求めて提訴している第4次厚木爆音訴訟団(約7千人)が事務所を構えていた。「岩国も同じだが、いつの間にか機能強化が進められる。騒音、基地がなくなるまで闘い続ける」と、斎藤英昭事務局長は憤った。

 訴訟団によると、騒音被害は周辺8市の250万~300万人にも及ぶという。綾瀬、大和両市の騒音測定器は100(電車通過時の線路わき)~120デシベル台(ビル工事現場)を毎月記録。90(地下鉄車内)~100デシベル台を記録する岩国市よりさらに高い数値だ。

 厚木基地の艦載機は2014年までに岩国へ移転する計画。防衛省は移転する艦載機59機のうち、FA18を49機、プラウラーを4機としているが、厚木基地ではFA18はホーネットが全てスーパーホーネットに、プラウラーもグラウラーに交代し、この2機種に代わることが確実だ。

 岩国市基地政策課は騒音状況を注視。「国への照会や厚木基地周辺の自治体から情報収集する」と対策に乗り出す構えだ。

 岩国市議で基地監視団体リムピース共同代表の田村順玄氏も「米軍は最新配備を重ね、交代後の機体が岩国に移転される。それに伴う被害を市民に伝えるべきだ」とし、団体などを通じて独自に情報発信していく構えだ。(堀晋也)


<岩国基地所属機と厚木基地配備となったグラウラー>(岩国市と在日米海軍司令部による)

所属      機種                    幅(m)    長さ(m)   重さ(kg)      時速(km/h)

岩国基地   FA18ホーネット戦闘攻撃機      11.43   17.07   10455         1915
         EA6Bプラウラー電子戦機       16.15   18.24   14588         1048
         AV8Bハリアー攻撃機          9.25    14.12    5936         1048
         UC12Fスーパーキングエア汎用機  13.36   16.61    3518          536
         CH53Dシースタリオンヘリコプター  22.01   26.96   19068          240
厚木基地   EA18Gグラウラー電子戦機      13.68   18.5    15011(無積載)   非公表


米空母艦載機移転計画
 在日米軍再編に伴い米海軍厚木基地(神奈川県綾瀬市など)の空母艦載機59機を2014年までに米海兵隊岩国基地(岩国市)へ移転する計画。59機について防衛省は、FA18戦闘攻撃機49機、EA6Bプラウラー電子戦機4機、E2C早期警戒機4機、C2輸送機2機としている。厚木基地では、FA18はホーネットが全て、エンジン出力の大きいスーパーホーネットに切り替わり、プラウラーもグラウラーに交代した。

(2012年4月17日朝刊掲載)

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