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海に眠る大和 鮮明に 呉市が潜水調査映像公開 腐食 艦首に隙間

 広島県呉市は22日、東シナ海に眠る戦艦大和の潜水調査で撮影した写真と映像の一部を公開した。写真などからは、1999年の前回調査では一体だった、菊の紋章が付いた艦首上部と、球状に突き出たバルバスバウがある艦首下部の間に大きな隙間ができていることが分かる。(今井裕希)

 船体の写真3枚と、作業風景を含む3分40秒間の映像を公開した。初のデジタル撮影によって、呉市の大和ミュージアムで既に上映展示しているアナログ映像より鮮明さが増した。

 写真のうち艦首上部を捉えた一枚では、菊の紋章が前回調査に比べて傷んでいるように見える。金箔(きんぱく)が剝げ、むき出した木の地肌が変色している。艦首上部は右舷側を海底に着ける格好で横たわっている。

 別カットはバルバスバウを側面から撮影。上部には何も写っていないことから、前回の調査後、艦首上部との間に隙間ができたことがうかがえる。残り一枚に写る右舷側のスクリューは原形をとどめているが、表面は付着物で覆われていた。

 艦首上部と下部に隙間ができた原因について呉市学芸課の新谷博課長は「劣化が進み、構造物が自重に耐えられなくなったと考えられる」と話す。

 呉市は7月16日午後1時半~3時、くれ絆ホールで調査報告会を開く。映像と写真を映しながら学芸員が解説する。定員400人。6月29日までに、往復はがきに住所、名前、電話番号を明記して郵送する。はがき1枚につき2人まで申し込める。〒737―0029呉市宝町5の20、大和ミュージアム「潜水調査」係。Tel0823(25)3047。

戦艦大和潜水調査
 戦艦大和が建造された地である呉市が5月10~27日、長崎県五島市の男女群島の南176キロの東シナ海の沈没海域に民間の調査船「新日丸」(697トン)を派遣。無人潜水探査機を遠隔操作で水深約350メートルに潜らせ、写真約7千枚とデジタル映像約50時間分を撮影した。レーダーなどで計測もした。

(2016年6月23日朝刊掲載)

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