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平和の旋律 国を超え ピース・アーチ・ひろしま クラシックコンサート 

 広島県が中心となって音楽で平和のメッセージを発信する「ピース・アーチ・ひろしま」のクラシック・コンサートが7月23日、広島市中区の広島文化学園HBGホールである。広島交響楽団がポーランドの楽団と合同オーケストラを結成し、日米独などの世界的ソリストが歌うベートーベンの交響曲第9番「合唱」など2曲を演奏。先の大戦で戦火を交えた国々の音楽家が、国境を超える音楽の力を見せる。(余村泰樹)

 広響は「シンフォニア・ヴァルソヴィア」のメンバー23人と約80人の合同オケを結成。ヴァルソヴィアは、平和活動に熱心に取り組んだ世界的バイオリニスト、故ユーディ・メニューインが設立。ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)と原爆投下という悲劇を経験した土地に根差す楽団のメンバーが平和への思いを一つにする。

 「第9」は後半の演目で、ソリストに豪華な面々がそろう。メゾソプラノは、欧米で活躍し世界的評価を受けている藤村実穂子。公演に寄せたメッセージで、紛争の絶えない世界について「権力や支配へのあこがれがいかに愚かか。人間に理解できる日はいつなのか」と憂う。強い思いを歌声に乗せる。

 カーディフ国際声楽コンクールで優勝した米国人ソプラノ歌手ニコール・カベル、ドイツのテノール歌手クリスティアン・エルスナー、ポーランドのバス歌手アダム・パルカも一流オケと共演を重ねる実力派。かつて敵として向き合った歴史もある国々の音楽家が集い、エルスナーは「団結の大いなる象徴」と気持ちを高ぶらせる。合唱は東京オペラシンガーズが務める。

 前半は、2015年のショパン国際ピアノ・コンクールのファイナリスト小林愛実(宇部市)が登場。コンクール本選で奏でたショパンのピアノ協奏曲第1番を披露する。「ショパンが祖国ポーランドの平和を願ったように、私のショパンへの愛と、平和を願う気持ちが伝わるよう演奏したい」と誓う。

 タクトは広響音楽監督・常任指揮者の秋山和慶。出演者それぞれの実績に加え「メンバー同士の友情は計り知れないほど大きい」と、長く記憶に残る最高のステージを約束する。

 午後3時開演。A席6千円、B席5500円。S席は完売。実行委Tel082(513)2725。

(2016年6月25日朝刊掲載)

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