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被爆者の顔でマスク作り 岡山「2世・3世の会」 核なき世界訴え

 平和記念公園(広島市中区)で活動する二つの組織のボランティアが、初めて共同の研修会を開いた。原爆資料館のピースボランティアと国立広島原爆死没者追悼平和祈念館の朗読ボランティア。被爆者の記憶を継承する同じ目的に向けて、交流を深め、提案を出し合った。(山本祐司)

 岡山県内の被爆者の子や孫たちでつくる「岡山被爆2世・3世の会」は、人の顔の石こう型を基に和紙製のマスクを作るワークショップを岡山市北区で開いた。京都市のNPO法人「ピースマスクプロジェクト」が全国で進める取り組みの一環。被爆者と被爆2、3世の計6人が平和な世界を願い、マスク作りに協力した。

 同法人のメンバーで造形作家の金明姫(キムミョンヒ)さん(66)=福井県高浜町=が制作を担当。横になった被爆者たちの顔に石こうを塗り、20~30分かけて顔の型を取った。今後、型に和紙を重ねて完成させる。

 この取り組みは、日本被団協が8月に結成60周年を迎えることを受け、被爆者たちの顔で作ったマスクの展示を通じ、核兵器のない世界の実現に向けたメッセージを広げるのが狙い。被爆地の広島や長崎でもマスク作りを計画し、8月末までに100人分を作り、巡回展も各地で開く予定。

 爆心地から約2キロの広島市皆実町(現南区)で被爆した豊田冨士子さん(86)=倉敷市=が被爆体験を語る場面もあり、山陽女子高(岡山市中区)の生徒6人が聞き入った。

 マスク作りに協力した2世・3世の会の加百(かど)智津子世話人代表(66)=総社市=は「幼い頃から母の壮絶な被爆体験を聞いてきた者として、原爆の悲惨さや平和の大切さを訴える使命がある。アートを通じて伝える新たな手法を大事にして広げていきたい」と話していた。(加茂孝之)

(2016年6月27日朝刊掲載)

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