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広島の平和公園で活動 2団体 展示解説と朗読 伝わる工夫 意見出し合う

 平和記念公園(広島市中区)で活動する二つの組織のボランティアが、初めて共同の研修会を開いた。原爆資料館のピースボランティアと国立広島原爆死没者追悼平和祈念館の朗読ボランティア。被爆者の記憶を継承する同じ目的に向けて、交流を深め、提案を出し合った。(山本祐司)

 資料館の展示や慰霊碑について解説するピースボランティアは1999年にスタート。現在は約200人が登録している。2005年に始まった朗読ボランティアは現在約80人。定期的に祈念館で被爆体験記や原爆詩を読み語るほか、要望に応じ出向いて話す。

 ピースボランティア事業を進める広島平和文化センターは、国からの委託を受けて朗読ボランティアの事業も取りまとめている。ただ、活動内容などが違うため、これまでは共同の研修会は開いていなかった。今回は、ピースボランティア有志が「隣で活動する者同士、連携を深めよう」と考え、実現した。

 祈念館で定期朗読会に続いてあった研修会には、ピース側15人、朗読側17人が参加した。体験記と詩の語りに耳を傾けた後、それぞれの代表者が活動を紹介。「1回の時間と対象の人数は」「利用する時の申し込み方法は」「男女の割合は」など質問が相次いだ。

 後半は感想や提案も述べ合った。「朗読は被爆者の声が直接心に響く」「子どもだけではなく、当時の親が書いた詩も読むと大人により伝わる」。「被爆体験伝承者」の研修を受けているピースボランティアは「朗読も織り交ぜて伝承できれば情感に訴えられる」、別のメンバーは「視覚障害者には展示説明と朗読をセットで案内できたら」と意見を出し、予定の2時間を終えた。

 呼び掛けた一人でピースボランティア代表幹事の岡本忠さん(72)=安佐南区=は「有意義な会になった。今後も続けて提案を出し合いたい」。朗読ボランティアの清水恵子さん(72)=東区=は「朗読を評価する声もあり、うれしかった。継承の取り組みを互いに改善できれば」と話していた。

(2016年6月27日朝刊掲載)

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