×

ニュース

琉球大教授が内部被曝の重大性訴え 三号被爆者訴訟弁論

■記者 野田華奈子

 被爆者の看護や救護に従事した「三号被爆者」の手帳申請を広島市に却下された男女7人が、市に処分の取り消しなどを求めた訴訟の口頭弁論が15日、広島地裁であった。内部被曝(ひばく)を研究する琉球大理学部の矢ケ崎克馬教授(物性物理学)が原告側証人として出廷し、市の審査基準を批判した。

 矢ケ崎教授は、尋問で放射線発生のメカニズムを説明し「救護所や看護所は、被爆者の衣服から舞い出た放射性物質の微粒子で満たされていた」と指摘。「救護や看護行為の有無にかかわらず、室内にいるすべての人が(物質を)吸飲するなどして被曝した」と内部被曝の重大性を訴えた。

 さらに「1日10人以上の被爆者の救護にあたった者に支給する」とする市の手帳交付基準について、「科学的根拠がなく、ご都合主義で強引な線引き」と批判した。

 訴えによると、7人は被爆者の救護・看護活動に従事したり、看護する親に背負われたりしていた。市は2002年8月-05年1月、「事実が確認できない」として手帳交付申請を却下した。

(2008年10月16日朝刊掲載)

関連記事
解き明かせぬ被害 <上> (08年9月16日)
解き明かせぬ被害 <下> (08年9月16日)
原爆症認定問題は今 全面解決まだ遠く (08年8月20日)

年別アーカイブ