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核廃棄検証の課題議論 あす東京で国際会議開幕

 米国が2014年に提唱して始まった「核軍縮検証のための国際パートナーシップ(IPNDV)」の全体会合が28日、東京都内で3日間の日程で開幕する。日本では初開催。核兵器が実際に解体・廃棄されたかどうかを検証する作業に、核兵器保有国だけでなく、非保有国が共に取り組む仕組みづくりを目指す。

 15年3月の米ワシントン、同11月のノルウェー・オスロに続き3回目。米ロなど保有5大国に加え、日韓やドイツなど約25の非保有国から計約100人の参加が見込まれる。

 核軍縮の検証はこれまで、核兵器の削減条約を結ぶ米ロが2国間で進めてきた。IPNDVは、世界的な核軍縮がさらに進んだ段階を見越し、非保有国を含む多国間での検証体制を築いて信頼性を高める狙いがある。「核なき世界」実現に欠かせない措置の一つとしてオバマ米政権が提唱。会合では、現地査察の在り方や検証の技術的課題などを部会ごとに話し合う。

 オバマ大統領の広島訪問後、核軍縮では初の国際会議となり、日本は主催国として議論を主導したい考え。原子力分野の技術力を背景に、検証体制の確立にも貢献していく構えだ。ただ、核兵器の設計などの機密情報が検証作業中に流出するのをいかに防ぐかが、大きな課題となっている。

 また核軍縮策を巡っては、保有国と非保有国がかつてないほど溝を深めている。核軍縮の停滞を打破したい非保有国は、核兵器禁止条約の制定に向けた動きを加速。保有国はこれを警戒し、禁止条約の是非を議論した5月の国連作業部会をボイコットした。米国主導の今回の会合は、禁止条約を支持するメキシコやブラジルも参加する予定で、議論の行方が注目される。

 会合は非公開。ローズ米国務次官補が7月1日、外務省の相川一俊軍縮不拡散・科学部長と共に都内で記者会見し、成果を報告する。(田中美千子)

核廃棄の検証
 核兵器が実際に解体・廃棄されたことを確認する検証は、核軍縮に不可欠な措置。過去の米ロの核軍縮条約では、戦略核の運搬手段である大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機の実数を数え、その廃棄を検証することで条約履行を確認してきた。データ交換や現地査察も採用されている。短距離型の非戦略核や貯蔵されている核兵器の場合、運搬手段ではなく核弾頭そのものの廃棄検証が不可欠だ。

(2016年6月27日朝刊掲載)

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