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旧理学部1号館の保存・活用へ議論 広島市 有識者懇 初会合

 広島大本部跡地(広島市中区東千田町)の被爆建物、旧理学部1号館の保存・活用を巡り、広島市の有識者懇談会の初会合が27日、市役所であった。被爆の実態を伝え、市と広島大が構想する「知の拠点」に沿う保存範囲や用途に関する意見書を本年度中にまとめる。市は意見書を踏まえて具体策を決め、来年度に事業を始める予定でいる。

 メンバーは広島、東広島両市の8大学の副学長や日本被団協の坪井直代表委員、千田地区住民でつくる「広島大本部跡地活用促進会」の弘法寛三会長たち14人。

 初会合には13人が出席。座長に広島大の高田隆副学長を互選した。市側が「『知の拠点』の核となり、被爆の実相を後世に伝えることができるように保存・活用する」との基本的な考え方を説明し、了承された。終了後、高田座長は「学都広島の象徴、被爆建物として大切にしないといけない。都心の活性化につながる策を考えたい」と話した。

 懇談会は今後、4、5回の会合を開催。建物の保存方法に関し、全部や一部、モニュメント化などの中から一つに絞り、具体的な活用策を示す。

 1号館は市が所有。市によると、1931年築の同館は震度6強の地震で倒壊する危険性が高い。跡地の隣の広島大東千田キャンパスでは4月に新校舎が開設。跡地内では民間の再開発が進み、ことし8月に最初の施設が建つ。(和多正憲)

(2016年6月28日朝刊掲載)

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