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M6.8以上 中国地方50% 30年以内確率 活断層で試算 地震調査委

 政府の地震調査委員会は1日、中国地方のどこかでマグニチュード(M)6・8以上の大規模な地震が30年以内に起きる確率を50%とする予測を公表した。24の活断層ごとの確率に基づき初めて試算した。平田直委員長(東京大教授)は「中国地方の発生確率は高い」とみて防災対策の必要性を訴えている。(清水大慈、山本和明)

 公表したのは「活断層の長期評価」。中国地方を3地域に分けた発生確率は、広島県西部や山口県などの「西部」が14~20%。広島県東部と岡山県南部などの「東部」は2~3%、島根県東部や鳥取県などの「北部」は40%とした。

 調査委は、発生確率について0・1~3%を「やや高い」、それ以上を「高い」としている。地震の最大規模は、西部がM7・8~8・2程度かそれ以上、東部はM7・7程度、北部はM7・2程度を見込む。

 西部を14~20%としたのは、安芸灘断層帯(江田島市沖から岩国市沖)や岩国―五日市断層帯など、活発な活断層が多い点を理由に挙げた。東部は他の地域に比べて活断層が少ないとした。最も確率の高い北部は活断層は少ないものの、地震が頻繁に起きており、地下に隠れた震源断層があると推定されるという。

 活断層別では安芸灘断層帯が0・1~10%、岩国―五日市断層帯の岩国断層区間は0・03~2%など。中国電力島根原発(松江市)の南約2・5キロにある宍道断層は、過去の地震の頻度が明確でなく「ほぼ0%~0・002%」「0・9~6%」の2通りを示した。

 調査委は、14~20%とした中国地方西部の確率について「熊本地震があった九州中部と同程度であり、低い数字ではない。自治体や住民は十分に備えをしてほしい」と呼び掛けている。

活断層の長期評価
 政府の地震調査委員会が活断層の状況から地震の確率と規模を予測する。過去の頻度などを基に計算し、データ不足の場合は周辺の状況などから推測した仮定値を使用。過小評価を避けるためM6・8に満たない活断層の一部も対象に加え、全てM6・8以上が起きると仮定して集計した。従来の活断層別に加え、2013年から地方別の予測も公表。中国地方は九州(30~42%)関東(50~60%)に次ぎ3地域目となる。

島根原発近くの宍道断層 M7.0かそれ以上 発生確率2案併記 中国地方の活断層評価

 政府の地震調査委員会は、中国電力島根原発(松江市)近くの宍道断層による地震の規模をマグニチュード(M)7・0程度か、それ以上とする予測を公表した。断層の長さを確定できず「約21キロかそれ以上」としたため、幅を持つ表現になった。中電は25キロを前提に原発の耐震設計を進めており、今回の評価を受けた見直しは「必要ない」としている。

 同断層は原発の南約2・5キロを東西に走る。調査委は、断層が21キロよりも、さらに東側に延びる可能性を考慮したという。今後30年以内の地震発生確率も、同断層が最後に活動した年代を絞り込めないため「ほぼ0~0・002%」「0・9~6%」の2通りを併記した。

 中電はことし1月、島根原発2号機の再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査で、追加調査の結果などを受けて長さを22キロから25キロに延ばす考えを表明。規制委も了承した。25キロだと地震規模はM7・2。中電は追加工事をして設備の耐震性を高める方針だ。

 同断層を巡っては、中電は長さを4回見直してきた経緯がある。中電は「今後も新たな知見が見いだされた場合、適切に対応する」としている。(山本和明)

(2016年7月4日朝刊掲載)

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