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米高官「有益な議論」 核廃棄の検証会議 禁止条約 早期制定には反対

 米国のローズ国務次官補は1日、東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見し、6月下旬に都内であった「核軍縮検証のための国際パートナーシップ(IPNDV)」の全体会合について「技術的な知見を持ち寄り有益な議論ができた」と成果を強調した。核軍縮の停滞に不満を抱く非保有国が訴える核兵器禁止条約の早期制定には、反対の立場を示した。

 IPNDVはオバマ米政権が提唱。核兵器が約束通り解体・廃棄されたかどうか、保有国と非保有国が共に検証する仕組みづくりを目指している。3回目の今回は、核軍縮が停滞し、保有国と非保有国の溝が深まる中、双方から26カ国が参加。核兵器禁止条約を支持するメキシコ、ブラジルなどの政府代表も出席した。

 ローズ氏は、核弾頭そのものの解体の検証が今後必要になるとし「核軍縮の進め方で意見が違っても、核なき世界の理想はどの国も共有している。検証の技術的課題を共に考える枠組みは重要だ」と述べた。核兵器禁止条約の早期制定には「例えば北朝鮮は核を手放さない。核軍縮と安全保障は切り離して考えるべきでない」と反対した。

 同席した外務省の相川一俊軍縮不拡散・科学部長も「日本は厳しい安全保障環境を踏まえ、現実的な(核軍縮の)取り組みを進めるとの立場。禁止条約は否定しないが、核弾頭が非常に少なくなったところで進めるべきだ」と同調した。IPNDVは今後も会合を重ね、来年にも一定の成果を公表する。(田中美千子)

(2016年7月2日朝刊掲載)

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