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島根県と松江市 申請容認 島根原発1号機の廃炉計画

 島根県と松江市は1日、中国電力が島根原発1号機(松江市鹿島町)の具体的な廃炉工程を示した廃止措置計画について、原子力規制委員会への計画申請を容認すると回答した。中電は4日、規制委に申請する。

 市役所、県庁を相次いで訪れた清水希茂社長に、松浦正敬市長、溝口善兵衛知事が回答書を渡した。

 両者とも申請自体は認めるが、最終的な判断は規制委の審査後とする内容。1号機内の使用済み核燃料722体の確実な搬出などを求める要請書も共通して付けた。県は原発30キロ圏の鳥取県と出雲、安来、雲南、米子、境港市に照会した意見も添付。溝口知事は「周辺自治体の意見にもよく配慮してほしい」と述べた。

 さらに松浦市長は「使用済み核燃料の早期搬出を促すため、核燃料税を課税したい」とし、今後の協議を求めた。その後の取材で清水社長は「具体的な内容をうかがった上で協議したい」とした。(秋吉正哉)

【解説】住民の納得不可欠

 中国電力が島根原発1号機の廃炉を決めて約1年3カ月。具体的な作業に入るため必要な廃止措置計画の国への申請について、地元の島根県と松江市からようやく了解を得た。だが、容認されたのは、計画を申請することで、計画の中身が認められたわけではない。

 中電は4日、国に計画を提出し、国の審査を受ける。認可されても、県、市と結ぶ安全協定に基づき、再び両者から最終的な了解を得なければ、廃炉作業を始められない。

 地元説明会で住民から質問が集まったのが、使用済み核燃料の搬出計画だ。中電は2029年度までに敷地外に運び出すとするが、搬出先の青森県六ケ所村の再処理工場は20回以上も、稼働時期の延期を繰り返してきた。中電がいつ搬出できるのかは不透明だ。さらに、1号機の解体で発生する低レベル放射性廃棄物約6080トンの処理方法もまだ見通しは立っていない。

 廃止措置計画の申請がこれだけ遅れたのは、昨年6月に発覚した低レベル放射性廃棄物の処理をめぐる虚偽記録問題で地元住民の不審を招いたからだ。中電が早期に廃炉作業に入るには、住民の納得が得られる計画の中身を示すことが不可欠である。(河野揚)

(2016年7月2日朝刊掲載)

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