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原爆の絵 あの日継承 基町高生ら 証言基に35点描く 広島市中区

 基町高(広島市中区)創造表現コースの生徒たち30人が、市内の被爆者12人から聞き取った体験を表現した「原爆の絵」35点を完成させた。被爆者の記憶の継承を目指す取り組み。4日、同校に12人を招いて作品を披露した。

 生徒24人、卒業生、教員各3人が75~88歳の被爆者を分担。約1年かけて証言を聞いたり、被爆した場所を訪れたりして構想を練った。防火水槽で息絶える人々や猛火に覆われる街など、被爆者1人につき1~5点の油絵を仕上げた。

 亡くなったわが子を背負って「この子に水を下さい」と叫ぶ母親―。3年の津村果奈さん(18)=安佐北区=は、爆心地から1・5キロの今の西区の自宅で被爆した岸田弘子さん(76)=佐伯区=が避難する際に出会った親子を描いた。

 この日、岸田さんと作品の前に立った津村さんは「子どもの表情を表現するのがつらかった」と話した。

 事業は広島平和文化センターが2007年度に開始。08年度に最初の作品が完成した。被爆70年を過ぎ、記憶の継承を急ごうとセンターが被爆者への協力の呼び掛けを強化。9回目の今回、被爆者と作品数は過去最多となった。作品は7月末まで校内で展示後、原爆資料館(中区)に寄贈する。(有岡英俊)

(2016年7月5日朝刊掲載)

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