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被爆死815人 遺族どこに 広島市、全国に名簿発送 張り出しやすい縮小版も

 広島市は6日、平和記念公園(中区)の原爆供養塔に納められた遺骨のうち、名前が判明しながら遺族が見つかっていない815人分の名簿を全国の自治体などに送った。今回初めて、従来のB1判(縦104センチ、横73センチ)を半分にした縮小版を発送。「名簿が大きく張り出しにくい」との声に対応した。15日から10月末まで各地で掲示される。

 名簿はポスター形式。「遺族を捜しています」という呼び掛け文の下に五十音順で名前が並ぶ。死亡時の年齢や住所などの手掛かりも記す。市役所で6日、職員が1枚ずつ封筒に入れ、全国1970自治体とJR広島駅など市内の192施設へ発送した。

 市は1968年に名簿を公開し、85年に全国発送を始めた。公開後、845人の遺骨が引き取られたが、2010年4月の1人を最後に途絶えている。

 このため市は昨年12月、名簿の掲示状況を尋ねるアンケートを初めて実施。昨年送った1977自治体のうち、2割弱の373自治体が掲示していなかったことが分かった。「掲示スペースを確保できない」との理由が最多で、市は縮小版を作ることにした。縮小版は240カ所に送った。

 市原爆被害対策部調査課の土屋邦夫課長は「文字が小さく見にくくなるが、より多くの自治体の協力につながれば」と話している。(森戸新士)

(2016年7月7日朝刊掲載)

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