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「核なき世界追求」引用 オバマ氏演説 広島平和宣言案了承

 ことしの原爆の日に広島市の松井一実市長が平和記念式典で読み上げる平和宣言に、オバマ米大統領の「ヒロシマ演説」から「核兵器なき世界を追求する勇気を持たなければならない」との一文が引用される見通しであることが6日、分かった。同日、市役所であった被爆者や有識者らの懇談会で、この一文を含む宣言の文案がおおむね了承された。松井市長が8月上旬までに起草する。

 オバマ氏は5月27日、米国の現職大統領として初めて被爆地広島を訪問。平和記念公園で17分間演説した中で「私の国のように核を保有している国々は、恐怖の論理から逃れ、核兵器なき世界を追求する勇気を持たなければならない」と語った。平和宣言はオバマ氏の訪問と演説に触れ、「絶対悪」である核兵器の廃絶へ広島の決意を発信し、若い世代に呼び掛ける内容になるとみられる。

 最終会合となった6日の懇談会では、文案を非公開で議論。終了後、松井市長は記者団に、引用部分について「(被爆者の)こんな思いを他の誰にもさせてはならないという思いに通じていると思うところ」と述べ、具体的な内容には言及しなかった。  また宣言で、各国のリーダーに被爆地訪問を促す考えも強調。市に寄せられた被爆体験談から、10代で被爆した男女2人の声も引用するとした。

 松井市長はこれまで、ことしの平和宣言にオバマ氏の演説の一部を引用する意向を示していた。もう一つの被爆地の長崎市も、2日に示した宣言の文案で演説の一部を引いている。(和多正憲)

(2016年7月7日朝刊掲載)

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