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原爆の罪問うアート作品群 被爆者横田さん 広島市中区で11日から展示 

 広島市中区の住宅リフォーム業横田礼右(ひろすけ)さん(75)が、自身の被爆体験を基に原爆の罪を問うアート作品群を完成させた。昨年の被爆70年を機に着想し、制作を始めて約1年半。オバマ米大統領が広島を訪問した日に仕上げた。11日から中区の旧日本銀行広島支店で展示する。(栾暁雨)

 段ボールや新聞紙などで作った絵やオブジェ約70点。世界の過去と現代、未来を見詰める「目」を主題にした。白と黒を基調に、原爆で色彩を失った焦土の街を表現する。目を見開いた犠牲者の絵は「戦争と原爆の罪を告発し、今後の世界を見届ける」とのメッセージを込めた。

 横田さんは4歳の時、南観音町(現西区観音新町)で被爆。爆風でガラス片が頭部に刺さった。被爆体験を周囲に語るのをためらってきたが、「趣味の芸術作品でなら思いを伝えられるのでは」と昨春、制作を始めた。

 ことし4月に広島市であった外相会合後、オバマ氏訪問の機運が高まるのに合わせ、作品数が増えていった。5月27日、広島訪問の様子をテレビで見ながら「気持ちに一つの区切りがついた気がする」と仕上げの筆を入れた。

 一方、「作品で表現した被爆者の叫びにオバマ氏は耳を傾けてほしかった。短時間の滞在は残念だった」と横田さん。「オバマ氏が掲げる核兵器なき世界が実現する日まで、作品制作を続けたい」と決意を新たにする。

(2016年7月7日朝刊掲載)

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