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社説・コラム

『ひと・とき』 写真家・藤岡亜弥さん 川の流れと広島 重ねる

 平和記念公園の川辺で寄り添うカップル、球場を真っ赤に埋めるカープファン、初夏の祭り「とうかさん」を彩る今風の若者…。東京・銀座のニコンサロンで5日まで開いた個展は、現在暮らす広島を初めてテーマに据えた。

 呉市出身。「小さい頃から平和教育を受け、身近にあふれるステレオタイプな語りにはうんざりしてきた」。そんな「ヒロシマ」を遠ざけるように撮った日常のスナップだが、「避けても避けても、日常の中にあるヒロシマが浮かび上がってきた」。

 日本大芸術学部写真学科を卒業後、東京での会社勤めを経て写真家に。米ニューヨークを拠点に創作し、3年前、古里に近い広島市へ移った。

 個展のタイトルは「川はゆく 広島」。「広島では当たり前に目にする川の流れと、私が生まれた時には既にヒロシマだった広島について考えることを重ね合わせた」。19~24日、同市中区のギャラリーGでも開く。(森田裕美)

(2016年7月7日朝刊掲載)

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