[’16参院選島根・鳥取合区] 原発再稼働の論戦低調 組織・住民感情に配慮/共闘野党にずれ
16年7月7日
10日に投開票される参院選の島根、鳥取県合区選挙区(改選数1)で、中国電力島根原発(松江市鹿島町)の稼働・再稼働を巡る論戦が盛り上がらない。支援団体や住民感情への配慮に加え、スタンスの違う野党の共闘や、地方創生の訴え重視が、影響している。県境を越えた選挙区になった今回こそ、徹底した議論を求める声も上がる。(秋吉正哉)
公示の6月22日、自民党現職の青木一彦氏(55)=公明推薦=が鹿島町で街頭に立った。「原子力規制委員会の審査で安全が確認された原発は再稼働させるべきだ」との立場だが、約5分の演説に原発関連の発言はなく、その後の演説でも言及を控える。
陣営関係者は「再稼働を強調しすぎれば、原発事故に不安を持つ住民の反発を招く」と警戒する。このため、主張の主眼は地方創生などに置かれ、陣営では自民党島根県連の細田博之副会長(島根1区)が6月27日、同町で「多額の費用で建設した島根3号機の早期稼働が必要」と訴えたのが、今のところ目立っている程度だ。
無所属新人の福島浩彦氏(59)=民進、共産、社民、生活推薦=は、全国で再稼働を進める安倍政権の姿勢を「前のめり」と批判。「再稼働には原発30キロ圏の自治体の同意が必要」と主張する。しかし、6日現在、本人は同町に入らず、各地の訴えも安倍政権の経済政策「アベノミクス」批判などが中心だ。
民進党島根県連幹部は「福島氏は、原発の即時全廃を訴えているわけではない」と説明する。最大の支持母体、連合島根に中電関係労組も加わる。原発即時ゼロを掲げる共産党は、野党共闘のため選挙区候補を擁立しておらず、反原発を前面に出して主張する候補はいない状況だ。
原発事故に備えた広域避難は両県共通の課題。島根原発の東約19キロにある外江公民館(境港市)の松浦友三館長(66)は「与野党とも将来のエネルギー政策を含め、より深い議論を」と求める。
諸派で幸福実現党新人の国領豊太氏(34)は、原発再稼働には賛成している。
(2016年7月7日朝刊掲載)
公示の6月22日、自民党現職の青木一彦氏(55)=公明推薦=が鹿島町で街頭に立った。「原子力規制委員会の審査で安全が確認された原発は再稼働させるべきだ」との立場だが、約5分の演説に原発関連の発言はなく、その後の演説でも言及を控える。
陣営関係者は「再稼働を強調しすぎれば、原発事故に不安を持つ住民の反発を招く」と警戒する。このため、主張の主眼は地方創生などに置かれ、陣営では自民党島根県連の細田博之副会長(島根1区)が6月27日、同町で「多額の費用で建設した島根3号機の早期稼働が必要」と訴えたのが、今のところ目立っている程度だ。
無所属新人の福島浩彦氏(59)=民進、共産、社民、生活推薦=は、全国で再稼働を進める安倍政権の姿勢を「前のめり」と批判。「再稼働には原発30キロ圏の自治体の同意が必要」と主張する。しかし、6日現在、本人は同町に入らず、各地の訴えも安倍政権の経済政策「アベノミクス」批判などが中心だ。
民進党島根県連幹部は「福島氏は、原発の即時全廃を訴えているわけではない」と説明する。最大の支持母体、連合島根に中電関係労組も加わる。原発即時ゼロを掲げる共産党は、野党共闘のため選挙区候補を擁立しておらず、反原発を前面に出して主張する候補はいない状況だ。
原発事故に備えた広域避難は両県共通の課題。島根原発の東約19キロにある外江公民館(境港市)の松浦友三館長(66)は「与野党とも将来のエネルギー政策を含め、より深い議論を」と求める。
諸派で幸福実現党新人の国領豊太氏(34)は、原発再稼働には賛成している。
(2016年7月7日朝刊掲載)