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社説・コラム

「将来の大統領も広島へ」 ローズ副補佐官 一問一答 オバマ氏 折り鶴に感銘

 オバマ米大統領の広島訪問について、中国新聞が6日午前(日本時間7日未明)、単独インタビューをしたベン・ローズ大統領副補佐官との主なやりとりは次の通り。(ワシントン金崎由美、山本慶一朗)

  ―5月27日の訪問をどう総括していますか。
 成功だ。われわれが政権に就いた時は、駐日大使すら広島市の平和記念式典に出席していなかった。ケリー国務長官に続く大統領の訪問で、ある種のハードルを越え、将来の大統領や政府関係者が行くようになるだろう。広島への注目を米国でさらに高めたい。より多くの米国人に大変な経験を紹介し希望を与える人たちに会ってもらう。究極的な成功は、長期的に核兵器を減らすことに注目させ、紛争の平和的解決を目指すことだ。

  ―オバマ氏は原爆資料館(中区)を訪れた印象をどう語りましたか。
 大統領はいくつもの展示物を見て、中には、原爆のさく裂を経て残った資料や写真があったという。複数の展示物が原爆の破壊的な力を想起させた。しかし、大統領は特に折り鶴の展示に心を動かされ、「なんと美しいことか」と話していた。あれほどの破壊の末に、広島の人たちにとって多くの意味を持つ美しい象徴があることに感情を呼び起こされたのだ。

  ―演説を考える上で、被爆体験を学んだのですか。
 大統領が何を言いたいか、いくつかの方向性を示した。それを受けて私が調査班に多様な被爆体験記を集めるよう指示し、相当数を読んだ。これまでの中で最も感情面で自らを絞り出すように演説を書いた。

 体験記には共通点があった。(原爆の)閃光(せんこう)と、その後の描写だった。一部の人は、その後の人生についての情報を得た。例えば(被爆死した米兵捕虜の遺族の)米国人を見つけた男性だ。広島を語ることに、人生をささげてきた人たちにも衝撃を受けた。「この特別な世代がいつか亡くなる。皆が彼らの物語を語り続けねばならない」という内容のアイデアになった。

  ―軍縮の具体策に触れなかったのはなぜですか。
 私が被爆者なら、核兵器を取り除くために最も野心的で積極的な行動をすべきだと主張するだろう。被爆者がわれわれを批判してくれるのを感謝している。進むためにプレッシャーが必要だからだ。ただ(訪問の)瞬間はとても説得力がある。大統領は、その場に身を置いての思いを描写し、亡き者を追悼し、広島訪問から導き出される軍縮の追求という道徳的な使命を語ることが適切だと考えた。

  ―核攻撃を指令する通信機器などを指す「核のフットボール」を広島に持ち込んだとの批判にはどう答えますか。
 私なりにポイントは単純だ。どこに行き、どんな事態が起きても、大統領は対応できる安定した通信能力を持っているということだ。それがしばしば「核のフットボール」とひとくくりに言われる。事実として、核シナリオの際に適切なコードを携えて対応できる人間が大統領と一緒にいなければならない。

  ―広島訪問で「謝罪する必要はない」と言ってきたのはなぜですか。
 その問いについて騒ぎにしたくなかった。われわれは(その時々の)指導者を後から詮索しないし、全ての側面に関して説明もしない。悲惨な出来事が起こり、どんな教訓を得るのかを言おうとした。

  ―オバマ氏は長崎を訪れますか。
 (退任まで)非常に限られた時間しかなく、在職中は行かない。関心はある。

(2016年7月8日朝刊掲載)

ベン・ローズ米大統領副補佐官 単独インタビュー全文

オバマ氏広島訪問「成功」 被爆地と新たな関係 ローズ米副補佐官 本紙単独インタビュー

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