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死線越え平壌から帰国 戦争体験記 後世へ

 広島県神石高原町福永の児玉ミツコさん(86)が、戦争体験記「赤子を背負い 北朝鮮からの帰国」をまとめた。戦時中、夫と現在の北朝鮮の平壌に渡り、生後まもない長女と引き揚げるまでの道のりをつづった。

 A5判、14ページ。終戦後、陸軍軍属として敵機の飛行を監視していた夫は捕虜となり、平壌の自宅も荒らされて絶望した日々から始まる。

 約70人が乗ったトラックの荷台では圧死から長女を必死に守り、現地住民に食料を分けてもらいながら、原野や山を約2週間かけて歩き、1946年9月に帰国したという。

 地元のさんわ郷土史研究会による町民の戦争体験記を1月に目にしたのがきっかけ。自らの体験も書き留めて後世に伝えようと執筆した。児玉さんは「異国の人に助けられて何とか帰国できた。死線を越えた経験があるからこそ、平凡な中の幸せの大切さを感じる」と話す。

 体験記は100部を作り、町内の小中学校や公民館などに配った。(山成耕太)

(2012年4月24日朝刊掲載)

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