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広島訪問の成果 恐れ消えぬ オバマ氏 新核政策検討

 オバマ米大統領が新たな核政策を決める見通しと米メディアで伝えられたのを受け、被爆地では11日、広島訪問の成果として期待する声と冷静な見方が交錯した。

 「広島を訪れたのは無駄じゃなかったようだ。核兵器なき世界へ前進してほしい」。広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之副理事長(74)は前向きに受け止めた。オバマ氏の「ヒロシマ演説」には廃絶への具体策がなく、物足りなさを感じたという。核実験禁止を主導する新政策を望み、「被爆者と対話した広島での体験を何度もかみしめ、行動してほしい」と求める。

 一方、もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(71)は「被爆者が生きている間の廃絶につながりそうにない」と冷ややか。核兵器の先制不使用宣言については「被爆者の訴えは廃絶だ。核兵器をなくさない限り、どんな宣言をしても使われる恐れは消えない」と話し、米が核兵器禁止条約の交渉主導を、と訴える。

 6日に中国新聞の単独インタビューに応じたベン・ローズ大統領副補佐官は「核兵器について政策としてできる事はまだ終わってない。さらにどんなステップを踏めるか検討している」と述べていた。

 広島市立大広島平和研究所の水本和実副所長(核軍縮)は「困難とされてきた政策ばかり。任期が少ない中、オバマ氏は理想とする方向にかじを切ろうとしている」とみる。先制不使用宣言に関しては「日本政府も提案を歓迎し、保有国が互いに使わないと宣言できるような信頼醸成を後押しすべきだ」と指摘した。(岡田浩平、水川恭輔)

(2016年7月12日朝刊掲載)

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